大好きな新潟の魅力を詰め込んだシティベイクショップ。
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食べやすく、素材感や季節感を大切にしたパン・焼菓子たち。
個性的な店舗が集まる中央区古町・西堀通り。旧三越の向かいにある、小さな工房併設のお店が、田中 結さんがオーナーを務める「SunBake」だ。平日の午前中なのにひっきりなしにお客様が訪れる。人気の理由を聞くと「とにかく美味しいものを作ろうという姿勢でやっています。小麦粉は100%国産小麦ですし、他の材料もなるべく国産・県産のものを使っています。また、旬の素材や季節感を大切にしていますね」と田中さんは話す。
それゆえ、定番商品はあるものの、店頭に並ぶ商品ラインナップはその時々で変わるそう。いつ来ても新しい商品がある楽しさと、何種類でも食べられそうな絶妙なサイズ感がファンの心をガッチリ捉えている。「私たちのパンはやや小ぶりでスイーツ感のあるものが多いので、おやつとして食べる方も多いみたいです。差し入れやちょっとしたギフトとして購入されるお客様も多いですね」
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ふらりと入った店のパンに衝撃を受けて、即行動。
学生時代はスポーツに打ち込んだ田中さん。高校卒業後は柔整の専門学校へ進み、横浜で柔道整復師やスポーツトレーナーとして働いた。しかし「この業界に限界を感じてしまって…」と退職。次にやりたいことも見つからぬまま、ふらりと立ち寄ったベーカリーで買ったパンに衝撃を受けたという。その後すぐに、先述のベーカリーの雑誌記事を見つけ『あんなに小さな店で年商2億?』『オーナーの頭の中はどうなっているの?』と、入社を志願したという。「パンについてはド素人だったのですが、もう、直感で行動しました」と、当時を振り返って笑う。
入社後は製造部門に配属されたが、ひととおり経験した後に「サービスや企画も学んでみたい」とカフェ部門に異動。オーナーも「雇われているうちにできるだけ学んで独立しろ」というスタンスで、マーケティングや物事の考え方まで、惜しみなく教えてくれたという。同僚たちも独立志向が強く、夜な夜な集まっては夢を語り合う日々。「そのうちの一人が、主に製造を担当している相方。このお店は私がオーナーですが、実質二人で始めたんです」
持ち前の感性と行動力で3年間に2つの店舗をオープン。
田中さんが新潟にUターンしたのは、新型コロナウイルスがまだまだ猛威を振るう2021年。まずは店舗物件を見つけようと、新潟市の隅から隅まで、自転車で見て回ったそう。「この物件を見たときは、すぐにビビビッときました」と見つけたのが、現在の店舗だ。最初から決めていた『角地』に加えて、『横断歩道の前』で、『付近に会社が立ち並ぶ』と、すぐに不動産会社に連絡を入れたそう。また、前職で経営のノウハウをしっかり学んでいた田中さん。事業計画書を金融機関や支援機関、信用保証協会に提出すると「よくできていますね、頑張っていきましょう!」と言われ、相方と二人で相談しながら着々と準備を進めたそう。
そして2021年秋のオープンから1年が経った頃。SunBakeからほど近い場所にある「西堀青藍館」のオーナーから、「この場所で何かやってみませんか」と話が持ち込まれた。悩んだ結果、以前から知り合いであったコーヒー店とアイスクリーム店に声をかけ、3つの店舗が集まった複合施設をオープンすることに。「entrance(エントランス)」と名付けた新店舗は、SunBakeのパンを使ったオープンサンドなどを提供するブランチのお店。資金調達においては信用保証協会のアドバイスで、各種補助金を最大限活用したという。
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この街のために。大好きな古町をもっと盛り上げたい。
「テーブルがある店舗を持つことで、できることが広がりました」と話す田中さん。青藍館のお店では、他の飲食店とのコラボ営業や、音楽イベントなども開催している。「古町は個性豊かなお店が集まって、本当に大好きな街。今後もいろんなことにチャレンジして、地域を盛り上げることができたら」と目を輝かせる。
持ち前の観察眼と行動力で、「これは行ける!」と思ったことを次々と形にしていく田中さん。SunBakeに関しては、「作り続けること」を第一の目標としながら、きちんと商品を届けられるよう、取り置きサービスも始めた。田中さんの想いやアイデアが詰まった、SunBakeのパン・焼菓子たち。そのパワーで、今日も食べる人をポジティブに、幸せにしている。
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新潟県信用保証協会のサポート〈 SunBakeの場合 〉
新潟県信用保証協会のサポート
●創業後の財務チェック、経営アドバイス
●2号店の資金調達アドバイス
担当者からのコメント
やさしい雰囲気のなかに、熱い想いと事業成功への道筋が明確に感じ取れたことが印象的でした。自分の夢に向かって仲間を見つけ、協力しながらビジネスを展開している田中さん。さまざまなイベントにも参加され、SunBakeのファンは着実に増えていると思います。私もSunBakeの一ファンとして、今後のチャレンジを楽しみにしています。
創業を考えている人にアドバイス
独立するなら若いうちに!ある程度修行したら、行動あるのみ!
やりたいことがあるなら、熱が冷めないうちに行動したほうがいいと思いますね。学べるうちに学んで、動けるうちに動いて。独立もスモールビジネスからでいいと思います。人生は長いマラソン、起業は通過点でしかありません。私も叶えたい夢があるので、それに向かって進んでいるところです!
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SunBake(サンベイク)
設立:2021年10月
所在地:新潟市中央区西堀前通6番町900-2
業務内容:製造小売業、飲食業
古町でパンと焼菓子を製造・販売するお店。カウンターには約30〜50種類のパン・焼菓子が並び、お客様に対面で選んでもらうスタイル。朝7時からオープンし、すべて売り切った15時ごろに閉店する。
店名・屋号の由来
「SunBake」はパンもお菓子も焼く「ベイクショップ」。曇りがちな新潟で、お日様のように気持ちをパーッと明るくするような商品を提供したいと思って名付けました。「entrance」はお店のパンや食事が、お客様のいい一日の入口になるよう願いをこめています。