新潟県信用保証協会

創業支援事例紹介

失敗を恐れず、新しいことに挑戦していく。そのためには最初の準備をしっかりと。

株式会社Creative.LAB/ 代表取締役 中村修吾さん

創業2年でスタッフは8名。「仕事は楽しく」をモットーに。

スタッフの席を固定せず、座る場所はくじ引きで決める。大きな本棚にはマンガ本とフィギュア。カフェのようなおしゃれな空間。「どうせ働くなら、楽しく仕事がしたいじゃないですか」と話すのは、映像制作をメインとするCreative.LAB(クリエイティブ・ラボ)を立ち上げた中村修吾さん。「『楽しさの上に仕事がある!』、これは起業する時に考えた経営理念の一つです」。

「最初はにいがた産業創造機構が運営する朱鷺メッセの創業準備オフィスにデスクを一つだけ借りて、一人でやっていました」と独立したのが2020年1月。4月には2人となり、6月には4人となり、現在スタッフは8名に。わずか2年の間に仲間を増やし、オフィスを構えることになったが、中村さんは「性格的にも一人だと無理なんです。さぼってしまって」と笑う。

時間をかけて準備したことが、結果的には良かった。

もともと映像制作会社で営業・プロデューサーとして、テレビCMや番組を制作していた中村さん。「20代の頃から、漠然と『将来は自分で会社を経営したい』と思っていました。40才を前に会社に独立すると伝えたんですけど、慰留されてしまって。結局辞めるのが1年以上先になったんですが、創業準備も同時に進めました。結果的に準備期間があったのがよかったですね」

創業に向けて実際に動き出してからは、さまざまな壁にぶつかったという中村さん。「プロデューサーとしての仕事や、営業として仕事を取ってくる自信はあったのですが、それだけじゃダメなんですね。資金調達から売上の回収まで、お金の流れを現実味のある数字にしてみると、本当に考えが甘かったと痛感しました」と振り返る。具体的に相談したのはにいがた産業創造機構(NICO)、新潟市産業振興財団(新潟IPC財団)、そして新潟県信用保証協会。「運転資金の融資を受けるために、最終的には信用保証協会さんと事業計画書を作って金融機関にプレゼンしたんです。あの時は本当に助けてもらいました」

アドバイスを受けて知った、経営理念の重要性。

「これまでやってきたことを活かしたいと思っていたのですが、経営というのは、全く別のものだと分かりました」と中村さん。総務、経理、税金関係、補助金…事業計画書を作るほかにも、さまざまな知識を得る必要があったという。アドバイスの中でも、最も印象に残っているのは「経営理念を作ること」だと言う。「最初は経営理念なんて、作る必要があるのかと思っていました。でも、『君はどういう会社を作りたいの?』『自分がいない時に、スタッフは何を根拠に判断するの?』と言われて。一人なら必要ないけど、会社の方向性がわからないと社員たちが困る。いろいろ考えたんですけど、最終的には何のために起業したのかを考えて、カッコつけずに言葉にしました」

そして定めた経営理念は「楽しさの上に仕事がある!」「とにかくやってみよう!」「失敗したっていいじゃない!」「関わる人たちを大切に!」の4つ。自由なオフィスの雰囲気も、「仕事は楽しく」という中村さんの信念からだ。「クリエイティブを仕事としているので、まず仕事自体が楽しくないと、いいものはできないと思っています。そしてクリエイターが楽しく働けて、モチベーションを高められる環境を作っていきたいんです」

創業直後に襲ったコロナ禍。事業計画は柔軟に変えていく。

中村さんが起業した時期は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と重なった。仕事は当初に作った事業計画書通りには進まなくなったという。「予定していたCMやイベントの仕事が全くなくなってしまいました。でも代わりに、動画制作やライブ配信の相談を受けるようになって。特にライブ配信は大きく伸びましたね」。中でも走る観光列車や酒蔵と参加者をオンラインでつなぎ、自宅にいる参加者に旅行気分を届けるというライブ配信は「テレビの生放送とイベントをかけ合わせたような感じで、非常にスリリングな仕事でした」と話す。

また、2022年2月には別の映像制作会社をM&Aでグループ化した中村さん。その時に事業計画を更新して、改めて融資を受けたという。現在も新潟IPC財団や新潟県信用保証協会から、定期的にアドバイスを受けている。「これからも新しいことに挑戦していきたいんです。悩んでいることに対しても客観的な視点で見て、冷静な意見をもらうと、自分が今どの辺の立ち位置にいるのかが分かる。それがありがたいですね」と、相談することの大切さを説く。仕事は楽しく、失敗を恐れずやってみよう…中村さん自らが企業理念を体現しながら、これからも「Creative.LAB」を引っ張っていく。

新潟県信用保証協会のサポート〈 株式会社Creative.LABの場合 〉

新潟県信用保証協会のサポート

●創業計画の作成支援
●金融機関紹介
●新潟IPC財団、金融機関と連携した創業後モニタリング

担当者からのコメント

はじめて「事業計画」と創業に向けての想いを聴いたとき、しっかりとした経営理念と人に対する優しさを持った人物という印象を受けました。創業して約3年が経過し、会社は急成長していますが、その視線はしっかりと将来を見据え、考える眼を持った事業者となっています。

創業を考えている人にアドバイス

本を読む前に、まず行動して。人に会って相談すること。

創業に関する知識はゼロでもいいから、まずは人に会って話を聞くこと。僕も本やインターネットで調べてはいたんですけど、どこか他人ごとで頭に入らないんですよ。そして頭でっかちになる。リアルで会って話を聞いたほうがいいです。新潟県信用保証協会さんのほかにも、NICOや新潟IPC財団といった公的な相談機関もありますので、勇気を出して、まずは行ってみてほしいです。

株式会社Creative.LAB(クリエイティブ・ラボ)

設立:2020年1月
所在地:新潟市中央区東大通1-7-8 アイ・エム第一ビル7階
業務内容:映像制作業・WEB制作業・オンライン配信などインターネット関連サービス業

「映像制作」「WEB制作」「オンライン配信」の3つの事業を展開。「映像制作」では、TVCM・プロモーション動画・リクルート動画・動画コンテンツなど、豊富な実績がある。企画から撮影、編集、納品までワンストップで制作が可能で、プロ仕様の撮影スタジオとナレーションブース/MA編集ルームも自社で完備している。「WEB制作」では、ホームページ制作後の運用フェーズまでサポート体制を確立。お客様で直接、簡単にサイト修正ができるシステムを導入している。「オンライン配信」では、大小様々な規模の配信を年間100件以上こなす。豊富な経験を活かし、企画から当日の配信まで、お客様の目線に立ってトータルで配信をサポートしている。

店名・屋号の由来

最終的にはわかりやすさを重視しました。最初はいろいろ考えたんですけど、カッコつけても仕方ないと思って、結局わかりやすいものになりました。

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