SNSの有効活用と店内イメージの改善を支援。コロナ禍を乗り越え、新たな客層を開拓。
テナント出店から半年でコロナ禍に
小千谷市の中でも山あいの真人(まっと)地区に店を構えるそば割烹、まるいち。小麦粉を一切使用せず、小千谷産そば粉の一番粉と布のりで丹念に仕上げたそばは、なめらかなのど越しと歯切れの良さが特徴だ。
小千谷といえば、錦鯉も世界的に知られる伝統文化。小千谷市は2020年東京オリンピックに合わせて、インバウンドの観光促進に注力。へぎそばや錦鯉見物を楽しむツアーが計画され、まるいちも市内の複合施設にテナントを出店した。しかし出店からわずか半年でコロナショックに。ツアーは全てキャンセルとなり、夜の宴会の売り上げが落ち込んだ。「途方に暮れていたところに、付き合いのある金融機関から新潟県信用保証協会さんの経営支援を受けてみてはどうかとお話をいただいたんです」と代表の羽鳥清氏は話す。
親身な姿勢にイメージが一変
新潟県信用保証協会の印象について、「それまで書類上のお付き合いしかなく、私からすると敷居の高い存在。経営支援ということで、数字を並べて難しい指導をされるのではないかと身構えていました」と羽鳥氏。しかし一度会ってイメージが一変したという。「こちらの悩みに親身になって寄り添い、いろいろと具体的なアドバイスをしてくれました。たとえばSNSは、日記的な内容と営業的アプローチを区別して発信すること。古民家の雰囲気を活かすために、私が趣味で撮影した小千谷の四季の写真を店内のモニターで流すことなどをご提案いただきました」
夜の宴会が難しくなったことから、ランチメニューを充実させ、出前やテイクアウトメニューの開発も進めた。こうした努力が、コロナ禍が落ち着いた現在も足を運んでくれるリピーターの獲得につながっているという。
客層の幅が広がり売り上げも回復
さまざまな取り組みの結果、ランチタイムだけでも売り上げが見込めるほどに経営が回復。SNS効果により客層の幅も広がったという。「若い人や女性のお客様が増えました。遠方からのご来店も多くなったと思います」
今後はSNSと並行し、メディアへの露出も増やすつもりだ。県内の情報を発信するWEBサイトやローカルテレビ番組など、地元メディアに積極的にアプローチをかけている。
経営回復に伴い、従業員の確保も新たな課題となっている。「SNSで職場の雰囲気の良さを伝え、へぎそば文化を一緒に伝えてくれる若い人が仲間になってくれたらうれしいです」と羽鳥氏。「保証協会さんには、コロナ禍の大変な時期から長期に渡ってアドバイスをいただきました。この先も長くお付き合いさせていただけたらと思います」
新潟県信用保証協会のサポート〈 有限会社まるいちの場合〉
古民家の雰囲気を生かし、具体的で実効性のあるアドバイスを。
1/相談のきっかけ
コロナ禍やまん延防止等重点措置により、急激に売り上げが落ち込んでいました。
↓
まるいちさんが普段お付き合いしている金融機関を通じて、当協会にご相談いただきました。
2/課題
コロナ禍による売り上げ不振
コロナ禍の混乱期で先が見えない中、その時々でできることを考える必要がありました。
雰囲気のある店づくりやSNSに改善の余地
築100年超の古民家の雰囲気を活かし切れていない、SNSはFacebookのみで効果が限定的といった課題がありました。
3/解決策
SNSなどの活用と強みを活かした店づくり
来店客の属性や動向等を調査するため、お客様アンケートを実施しました。分析結果に基づき、InstagramやX(旧Twitter)を活用して若者や女性客へのアピール強化を行ったほか、古民家の雰囲気を活かすため、最寄りの風景写真のスライドショーを店内に流すことをアドバイスしました。
国や県の支援策に関する情報を提供
コロナ禍における国や県の助成金や補助金など、まるいちさんに最適と思われる情報を整理してお伝えしました。
支援担当者の声
面談初日、コロナ禍の混乱期でしたが「うちの強みはこれだ」としっかりと芯を持っていた羽鳥氏。さまざまな情報や経営改善のアイデアをお伝えしましたが、選択し実行したのは羽鳥氏の力です。今回の経験を生かしてこれからも前進していただけると思います。
有限会社まるいち
1974年創業 小千谷市真人町
小千谷市と十日町市の中間に位置する真人町(まっとちょう)に開業して約50年。趣のある店舗は山間部から移築した築100年を超える古民家で、窓の外には四季折々の風景が広がる。こだわりのへぎそばをはじめ、天ぷらや丼もの、会席料理まで幅広く提供。