進化を続ける越後の名湯
米や梅、タケノコなど、農産物豊かな新潟県田上町に、開湯から250余年の伝統を誇る湯田上温泉はあります。
協会では、四季折々の風情に魅了される旅館「越後乃お宿わか竹」の経営支援を続けてきました。
老舗旅館を未来につなぐ
湯田上温泉「越後乃お宿わか竹」の始まりは、昭和初期の1936年。現社長である塚野裕喜さんの祖母が創業し、90年近い歴史を紡いできた。最盛期には20軒以上の旅館が軒を連ねていた旧湯田上温泉街から現在の土地へ移転して50年余り。塚野さんの両親から受け継いだ旅館を次世代につなぐため、女将の隆子さんと共に切り盛りしている。田上町の観光スポット護摩堂山の登山口に一番近い旅館であり、「越後の名湯」と呼ばれる泉質自慢の温泉、新潟の旬の味覚を味わえる料理がそろう。
こうしたおもてなしが評判をよび、県内外から宿泊者が訪れるものの、「新型コロナウイルス感染拡大の打撃は想像以上だった」と隆子さんは振り返る。これまで金融機関を介した協会の金融支援はあったが、直接的な経営支援は創業してから初めてのこと。「去年と同じことをやっていては同じ結果にしかならない」という協会担当者の一言が、旅館変革の第一歩につながっていった。

OTA活用で集客力向上を目指す
社員一丸となって新しいことに挑戦するため、まずは経営計画の作成からスタート。計画では集客力の向上を柱の1つとし、直販中心であった販売ルートをみて、OTA(オンライン旅行代理店)にもっと伸びしろがあるのではないだろうかと考え、協会担当者とともに新たな宿泊プランを開発した。

挑戦心をかき立てる伴走支援
塚野さんご夫妻が協会に厚い信頼を寄せている背景には、親身になって旅館のことを考えてくれる協会担当者の行動力があった。「経営支援が始まってからすぐ、ご家族で泊まりに来てくださって。後日、宿泊時に満足した点や改善した方がよい点などの情報をまとめて、私たちに伝えてくれました。社員もみんなそのことを知っていて、経営改善の意欲が高まっています」。時には社内で意見が対立することもあるというが、「他の方法はないだろうか」と挑戦し続ける力が経営支援を通して培われていった。その結果、旅館のロコミ評価は上がり、一部OTAでは前年同期を上回る集客数を記録している。
「若い社員の声を反映して、料理内容や料理の器も変えています。この秋には、竹のアートイベント『たがみバンブーブー』に向けた新プランの販売を計画していますし、朝食で人気が高いタケノコの味噌漬けを商品化する予定です」。伴走支援によって今やるべきことが明確になったという隆子さん。老舗旅館の新たなおもてなしで、お客さまも会社も笑顔であふれていた。

新潟県信用保証協会のサポート〈越後乃お宿 わか竹の場合〉
魅力を引き出し、老舗旅館に変革を。
担当者の着眼点
国内のOTAに掲載している宿泊プランの訴求力が競合他社に比べると弱い印象がありました。そこで、第三者の視点で打開策を提案しながら、まずは「変えてみること」が大切と伝えました。
サポート内容
事業の先行きや展望など、今後の経営の道筋を立てるための経営計画を作成しました。新しい宿泊プランの開発や、顧客満足度やサービスヘの愛着度を測るお客様アンケートの作成支援のほか、外部専門家派遣による指導助言支援を実施しました。現在も、継続的な支援とフォローアップを行なっています。
支援担当者の声
安定的な売り上げ確保を目指して
「今までと同じことやっていては同じ結果にしかならない」と、少々厳しいことを言わせていただいたこともありましたが、この一年でたくさんの良い変化が起きていると思います。経営計画を基に、さらなる事業成長を後押ししていきます。

越後乃お宿 わか竹
護摩堂山の麓に広がる温泉地「湯田上温泉」で営業する純和風旅館。畳敷きで滑りにくく、子どもやお年寄りに優しいお座敷風呂、天然石を使った露天風呂で訪れた人々を癒やしてくれる。古くから「薬師の湯」として親しまれる湯田上温泉の湯は飲泉も可能。本格的な数寄屋造りの客室、地元の旬が詰まった料理と共に、特別な時間を過ごせる。
