新潟県信用保証協会

経営支援事例紹介

自社の強みを見出し営業力を高める。得意分野に絞り、スケールの大きな新規受注を実現。

株式会社江口鉄筋工業/鉄筋加工組立・土木工事業 代表取締役社長 江口 憲一氏

下請けが多く過当競争に 「今思えば、よくここまでやってこれたなと思います」。江口憲一社長は感慨深そうに語る。専務だった2011年、メインバンクから突然「今後の取引が難しくなるかもしれない」と告げられ、利用していた新潟県信用保証協会に駆け込んだ。「職員の方の第一声は『この数字ならまだ立て直せます。大丈夫』というものでした。その上で、今後はもっと若い社員が活躍できる環境を作ってはどうかと言われました」。その後、2013年に社長に就任した。「当時は営業力がなく、下請け仕事がほとんどでした。どんどん値段を下げて過当競争になり、売上も給料も下がっていました」と振り返る。

社内改革に着手

江口社長がまず取り組んだのは、過去3年分すべての工事の振り返りだった。どんな現場が黒字を達成し、どんな現場で赤字になったのか。一つ一つ分析し、傾向を見出していった。「この作業には、協会さんに教えてもらった『製造原価管理表』が役に立ちました。仕事のやり方と、結果としての数字の関係を分析することで、自社の得手・不得手も見えてきました」といい、建築工事よりも土木工事に強いことが分かったという。この結果をふまえ、若手社員の積極的な登用を行った。エネルギーのある若手を営業に回し、新規開拓を図った。

県外へ営業エリアを拡大

経営改善の成果を感じ始めたのは、5年ほど経った頃だ。新規受注が増え、東日本大震災の復興工事など県外の大規模工事も受注するようになった。諦めずに努力を続けられた理由の一つを、江口社長は「困ったときに相談できる協会さんの存在は大きい」と話す。「一見、堅そうな組織というイメージがあると思いますが、皆さんとても親切に話を聞いてくれます。協会さん経由で司法書士や弁護士に相談できるのも大きいです。業種に関わらず、新しい営業展開を考えている、など次の一歩を踏み出そうとする経営者さんは、ぜひ相談するといいと思います」。今後については「若い人が興味を持つようなホームページを作りたい。その際はまた協会さんの力をお借りしたいです」と話す。 経営者として、社員の成長が最大の喜びだという江口社長。彼らがやりがいを持てるスケールの大きな仕事を獲得するため、社員一丸となっての挑戦はこれからも続く。

新潟県信用保証協会のサポート〈 株式会社江口鉄筋工業の場合 〉

会社の将来を考え、若手の成長を優先事項に。

新潟県信用保証協会では、課題の整理と分析を以下のようにまとめました。

  • 営業力の不足
  • 値下げによる過当競争に巻き込まれ、収益性が低下
  • 職人の世界ということでベテランの力が強く、若手社員が活躍できる場が限られていた

上記の問題点の解決策として、以下の提案をいたしました。

  • これまでの現場の収益状況を把握し、得意分野を見極めるため、「製造原価管理表」を作成するよう提案しました。
  • 得意分野の受注獲得によって収益性を改善するため、若手社員を積極的に動かし、新規開拓に力を入れるようアドバイスしました。

成果

若手を積極的に登用すると同時に、過去の仕事をデータ化することで対応策が見え、状況は徐々に改善。銀行との取引も継続されることになりました。東日本大震災の復興工事など、県外の大型受注も増えています。

株式会社江口鉄筋工業

創業1961年 五泉市中川新4126 江口鉄筋として創業し、1979年に有限会社江口鉄筋工業、1991年に株式会社江口鉄筋工業となる。鉄筋の加工組立および土木工事を主要事業とし、工事実績は学校や病院などの施設のほか、道路、橋脚、トンネルなど多岐にわたる。2014年頃から東日本大震災の復興工事も手がける。従業員数29名。

経営支援サービスforte.(フォルテ)
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