家族経営に、プロの技術と第三者の視点を。コンセプトを明確化し、自信と愛着を持てるブランドへ。
既存の店名やロゴに迷い
山倉は、コーヒー豆の販売、オリジナルブレンド制作、カフェ運営などを手掛ける新潟市の企業。山倉政美代表取締役は18歳で憧れのコーヒー業界に入り、55歳で独立開業した。最初は妻と娘と3人で「KONA SNOW Coffee Roasters」という小さな店からスタート。2年後に今の場所に移転し、実家をカフェにリノベーションした。経営は順調で、息子たちが家業に加わったこともあり2店舗目を出すことに。現況把握のため訪れた保証協会担当者へ今後の事業展開について悩みを打ち明けた。
「最初は正直、『銀行さん以上にお堅い団体なのかな』と思っていました。でも一度会ってみると親身になって悩みを聞いてくれて、すごく話しやすかったです」と振り返る。「その時は店名やロゴ、パッケージデザインに迷いがありました。それまで『何となくかっこいい』『響きがいい』という感覚で決めていたので、強い思い入れを持てずにいたんです」
「100年続けたい」という想いをデザイン化
保証協会の担当者は、ブランドの「ストーリー」や「らしさ」を確立するインナーブランディングの必要性を説明。外部専門家のデザイナーの派遣をきっかけに、ロゴの制作に着手した。カフェの営業終了後から夜遅くまで、ヒアリングやコンセプト立案のため何度も打ち合わせを実施。試行錯誤の末に現在のロゴが完成した。モチーフは、女性の日本髪と赤い髪飾り。江戸時代に日本に入ってきたコーヒーに漢字をあてる際、蘭学者がコーヒーの赤い実をかんざしに見立て、髪飾りを意味する「珈」と「琲」の字をあてたことに由来する。江戸時代後期に誕生し、今に至るまで定着する「珈琲」の言葉のように「100年続く企業にしたい」という山倉社長の思いを表現した。ロゴに合わせて店名も「珈琲豆 山倉」に変更。新たなスタートを切った。
スタッフの意識が向上。売れ行きも上々に
「保証協会さんから『ロゴはかっこいいだけではなく、決まるまでの過程が重要ですよ』と教えていただきましたが、その通りでした。保証協会さんやデザイナーさん、家族と一緒に時間をかけて決めた今のロゴは思い入れも強く、スタッフの販売意欲もアップしたと思います。量販店からの反応も良く、売れ行きも好調です」
SNSやYouTubeにも力を入れ、県外からの引き合いも増えているという。「夢は、このまま家族と仲良く経営を続けること」と山倉社長。最近は焙煎士を目指す人への技術指導も始めた。100年続く企業を目指し、これからも走り続ける。
新潟県信用保証協会のサポート〈 株式会社山倉の場合 〉
「言語化組み立てシート」でブランドのストーリーを見出す。
1/相談のきっかけ
小針店出店に際し、金融機関経由で相談を受けました。当協会とのお付き合いは今回が初めてでした。
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事業計画について山倉社長にヒアリングを行いました。
2/課題
商品パッケージへの不安
それまでのデザインは家族会議の多数決で決定しており「こんな決め方で良いのだろうか」と不安に思っていたそうです。
今後の経営への思い
経営状況は悪くないものの、「自分たちが自分たちの店に自信を持っていない」という現状であることを打ち明けてくださいました。
3/解決策
専門家派遣
保証協会の外部専門家であるデザイナーを派遣。インナーブランディングを実施するにあたり、保証協会の担当者が情報整理のための「言語化組み立てシート」を作成。代表及びご家族にヒアリングし、情報を取りまとめました。
ロゴ決定の立ち合い
ロゴを決める際、第三者の目線で感じたことなどをお伝えしました。
成果
新しいロゴや店名へのご家族の思い入れは強く、販売意識の向上、売れ行きの増加と好循環につながっています。今後もしっかりと計画を立てた上で事業を展開していただくため、経営計画作成など同社の「地図づくり」をお手伝いしていきます。
株式会社山倉
2015年創業 新潟市江南区西山
新潟市中央区に自家焙煎スペシャルティ珈琲専門店「KONA SNOW Coffee Roasters」を開業。現地にコーヒー豆を買い付けに行くなど品質にこだわり抜く。2017年に現在地に移転。2022年に「珈琲豆山倉」に店名変更。本店、小針店の2店舗を運営。他に息子が経営する長岡店がある。