アドバイザリースタッフ紹介
株式会社フレーム
代表取締役 石川 竜太さん
いしかわ・りゅうた
1976年新潟県三条市生まれ。デザインをより身近に感じ、そしてビジネスに役立てたいという思いで、さまざまなクライアントの課題解決に取り組む。商品・ブランド開発、ブランディング、C.I・V.I計画、パッケージデザインなどを多く手がける。主な受賞歴:JAGDA賞、日本パッケージデザイン大賞、日本タイポグラフィ年鑑、pentawards、New York ADC、German Design Award、A’ Design Award、Muse Design Awards、Design for Asia Awardsなど。
http://frame-d.jp
「そもそも」のヒアリングが最も肝心
2021年3月にアドバイザリースタッフに就任いたしました。これまでNICO(にいがた産業創造機構)の相談窓口でアドバイザーを務め、さまざまな企業のご相談をお聞きしてきました。
私の本業はグラフィックデザインで、目に見える物で企業をバックアップするのがメインのフィールドです。デザインのご依頼を受ける時「この商品はそもそも必要なのか。なぜそれを作るのか」という、少々突っ込んだところまでお話しさせていただくことがあります。相談窓口でも過去にいろいろな事例を伺ってきましたが、単に「商品を作ったから売りたい」という思いだけで、よく考えずに販売に踏み切ろうとする企業が多いことを感じました。
私としては、売ることにどんな目的があるのか、どんな人に届けたいのか、またどのくらいの資本を投入してどれだけの利益を上げようとしているのかなど、気になる問題点はたくさんあります。自分の仕事としてお手伝いするとしたら、「その問題点に気づいてもらうこと」が最も大事だと思っています。
グラフィックデザインの領域を超えてお手伝い
私は純粋にユーザーとして見ているところが大きいのかもしれません。普段から生活の中で不便だなとか、なぜだろうと思うこと、要するにマイナスの部分がすごく目についてしまいます。相談に来られる企業の方にも、「なぜ?」と思ったことを率直に問いかけてみます。答えを聞くと、非常に独りよがりだったり、ユーザーには届きにくいなと思うことも結構あります。
せっかく商品を売ろうとしているのに、企業側の思いが正しく伝わらないのは残念なこと。デザイナーとしては「売れないものにならないでほしい」と強く思ってしまいます。売りたい相手や可能なサービスがきちんと定まっていれば、必然的に足りないものと必要なものが見えてくるもの。ブランディングやマーケティングにおいて、グラフィックデザインの領域に留まらず私がご提案できることはたくさんあると思うので、少しでも頼りにしていただけたら幸いです。
新たな出会いや、学ばせてもらう喜びも
ご相談を受けてみて初めて、こんな業種があるんだ、こんな商品を作っているメーカーがあるんだと気づかされることが多いのも事実です。その業界特有の事情もさまざまにあり、同じ業種でもA社とB社では全く違うこともある。私はご相談を伺いながら一つ一つ学ばせていただき、逆に私が自分の経験で得たたくさんの知見を皆様に提供する。それでお互いを高め合うことができたら非常にうれしいですね。
事例紹介
CASE 1
フルーツトマト専門農家のブランディング案件。秋に植え春に収穫する品種を「越冬トマト」と名付け、熊が冬眠するイメージのビジュアルを提案。「トマトが冬を越す」という価値観を軸に、企業の特異性を際立たせました。
CASE 2
パッケージデザインの依頼からブランディングに昇華した案件。商品の安全性や手軽さを大前提に、ターゲットとなる層や世界観を視覚化・言語化することにより、「家族への思いやり」「毎日の暮らしに寄り添う」というイメージを打ち出しました。
CASE 3
酵素を作る会社から、酵素が発酵する際の副産物である「ジン」のボトルデザインの依頼。80種類の野草やフルーツを使った酵素にちなみ、「野草」と「80(八十)」にかけて「YASO」というネーミングも提案。ボトルには80本の線を入れました。
CASE 4
金属加工メーカーからの依頼。過当競争の市場で価値を上げるために、会社のフラッグシップとなる全く新しいブランドを立ち上げました。イメージを一新すべく社名を伏せ、価格を統制し、流通も制限。その結果、消費者の購買意欲を掻き立て数カ月待ちの大ヒット商品が誕生。