新潟県信用保証協会

創業支援事例紹介

韓国眼鏡士の資格を活かすなら、チャンスは日本のほうがあると方向転換。

DoMoメガネ/ 店長 朴 商明(パク・サンミョン)さん

メガネ大国・韓国からトレンド感のあるメガネを提供。

多くの若者が行き交う新潟大学前のメイン通り。ここに建つビルの1階に、小さな眼鏡店が開店した。「ここにあるメガネの90%は、韓国から仕入れたものです」と話すのは、オーナーで店長の朴商明さん。日本のメガネもここ10年ほどでファッションアイテム化してきたが、メガネをかける人が圧倒的に多い韓国では、それ以上にファッション性が重視されるという。また、細部まで立体的に作り込まれたフレームも多く、トレンドを反映したメガネをコーディネートの一部として選ぶ傾向があるそう。確かに朴さんがおすすめしたメガネをかけると、顔になじみながらも、旬な印象になる。「BTSのテテやジミンなど、韓国の芸能人が愛用していて話題のブランドも扱っていますよ」

韓国ではメガネを販売するのに国家資格が必要。

子どもの頃から「将来は独立してお店を持ちたい」という夢があった朴さん。その夢を叶えるため、高校卒業後は韓国の眼鏡士専門学校へ入学。2006年に眼鏡士の国家資格を取得する。「韓国ではメガネを販売したり、作ったりするには、国家資格が必要なのです。視力を矯正するメガネはれっきとした医療器具。一人ひとりの視力と見え方に合わせて、細かく調整しなくてはならないものなんです」と朴さんは話す。

一方、日本では、何の資格がなくてもお客の視力を測定することができ、メガネを作ることができる※。眼科医が処方箋を出すこともあるが、後で「見えなかった」とクレームにならないよう、強めの度数で処方箋を出すこともあるという。「視力測定の結果=レンズの度数ではないんです。私の店では、左右の目を開けたまま検査し、理想的な『完全矯正度数』を調べます。より日常生活に近い状態で目の検査をすることで、その人にとって最も楽に感じるレンズの度数を割り出すのです」。また、フレームも重要。骨格や耳の高さも左右対象ではなく、ひとりひとり異なる。朴さんの手で調整されることによって、疲れにくく、ズレにくく、かけ心地の良いメガネに仕上がるのだそう。
※2022年より日本でも「眼鏡作製技能士」という国家検定資格がスタート。ただ、眼鏡作製や販売において、資格の取得・保有は義務ではない。

日本語を学ぶために来日。でも日本で開業することを決めた。

朴さんは国家資格を取得後、ソウル市内の眼鏡店に就職。その店には日本人観光客も多く来店することから、キャリアアップの一つとして日本語を覚えたいと考えた。そこに新潟市内の眼鏡店が、高い加工技術を持つ韓国人を探していたことから、「日本語の勉強のために」と来日した。新潟市内の眼鏡店で4年間働くが、その間に「このまま韓国に帰って独立しても、競争が激しい。日本のほうが、韓国眼鏡士の資格が活かせるんじゃないか?」と考えるようになったという。

2015年、日本での独立開業を目指して、新潟IPC財団(新潟市産業振興財団)と銀行に融資の申し込みをした朴さん。その時は融資が下りなかったのだが、その理由を「まず私が外国人で国内に保証人がいなかったうえに、自己資金が少なかったからですね」と振り返る。そこで、眼鏡店から給料の良いとび職へ転職。5年間の間、必死で働き、開業資金を貯めた。また、貯金が目標金額に到達する頃、朴さんは結婚。奥様のお父様が保証人となって後押ししてくれたこともあり、無事に開業資金を調達することができた。

保証協会の担当者から、もっと強みをアピールしていくようアドバイス。

2021年、念願の眼鏡店をオープンさせた朴さんだが、まだまだ多くの課題があるという。そのひとつは広告宣伝だ。現在、日本語はかなり堪能な朴さんだが、広告宣伝となるとまた違った日本語能力が必要となってくる。「改めて日本語の壁にぶつかっています。それに、オープン前にしっかりと宣伝できていればよかったかな。その重要性を知らないままオープンしてしまいました」と振り返る。さらに、新型コロナウイルスの流行も終わりが見えない。「大学は一斉にオンライン授業になってしまって。早く学生たちの賑わいが戻ると良いのですが」と話す。

そんな現状に対して、新潟県信用保証協会は大きな力になってくれると言う。先日、中小企業診断士の資格を持つ職員からいろいろとアドバイスを受けたばかりだ。「もっと僕自身の強みを前面に出すべき、と言われましたね」と朴さん。今後は、インスタグラムなどのSNSで、もっと情報発信をしていくとのこと。そう話した時に、一人の学生がメガネを持って店を訪れた。「友達から、このメガネ屋さんがいいよって聞いて」。朴さんの誠実な接客と地道な取り組みは、少しずつ、新規客の獲得につながるはずだ。

新潟県信用保証協会のサポート〈 DoMoメガネの場合 〉

新潟県信用保証協会のサポート

●創業計画へのアドバイス(創業あんしんサポート事業)
●金融機関紹介
●プレスリリース作成についてのアドバイス

担当者からのコメント

「顧客満足」を第一に、一人一人のお客様に向き合っている方です。言葉の壁にぶつかりながらも真摯な接客姿勢を貫いており、それが伝わってリピーターとなってくださったお客様から朗らかにお声掛けいただいている場面をよく目にします。様々なお客様に親しまれるお店となるよう、更なる躍進を期待したいです。

創業を考えている人にアドバイス

失敗してもやり直せる。若いうちに行動しよう!

韓国社会は「独立したい!」「ビジネスを成功させたい!」という志向が日本より強いように感じます。僕もそんな中で育ってきたので、独立することは自然な流れでした。ビジネスを始めるなら若いうちにチャレンジしたほうが良いと思います。失敗してもやり直せますから。悩んでいる人には、「人生一度きり!」「やりたいことをやろう!」と伝えたいですね。

DoMoメガネ(どうもめがね)

設立:2021年4月
所在地:新潟市西区五十嵐一の町6684-1角蔵ビルA-1
業務内容:眼鏡小売業

韓国出身の朴さんが新潟大学前に開いた眼鏡店。メガネ先進国・韓国から仕入れたトレンド感のあるメガネが並ぶ。また、最大の魅力は検査と調整に力を入れていること。韓国の国家資格「眼鏡士」を生かして、両眼のバランスや焦点、作業距離など、一人ひとりに合ったレンズを選び、調整・加工をしてくれる。

店名・屋号の由来

僕の大好きな日本語をお店の名前にしました。「どうも」は親しい間柄で使われ、時によって「ありがとう」にもなり、「こんにちは」にもなる。そんな素敵な言葉は韓国にはありません。お店とお客様が、気さくに「どうも」と交わせる間柄になりたいですね。

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